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ジムログ~マスターへの道~【第1回:権利の移転手続を始める前に】

2024.01.18

出願して登録後、権利者の名義変更が発生した場合、権利移転手続として「移転登録申請書」を特許庁へ提出して名義変更を行います。この手続は、着手前に手筈を整えることが大切です。

基本的な情報として、「誰(登録義務者)から誰(登録権利者)へ権利移転するのか」を確認します。

この情報が判明したら、まず原簿の確認をします。原簿とは、特許庁に登録されている権利の情報で、私たちの生活にたとえると、戸籍謄本のようなものです。そしてこの原簿と登録義務者の情報が一致していることが前提です。もし出願後に、権利者の転居、婚姻、商号変更などにより住所や名称が変更していて情報が一致しない場合は、原簿上の権利者の表示を変更する手続(「登録名義人の表示変更登録申請書(図1)」の提出)を済ませてから権利移転手続に着手します。素人考えで、最終的には名義や住所の変更をするのに、わざわざ古い情報に変更登録する必要があるのかと思ってしまいますが、スタート地点をキッチリそろえてから始めなければなりません。

原簿と登録義務者の情報が一致していれば次のステージへ進みます。

次に「利益相反行為」にあたるか、の確認をします。移転登録申請における「利益相反行為」とは、取締役と会社間の取引制限のことをいいます。取締役が自己の利益を得て、その会社が不利益を被るような取引は問題となるため、その場合は株主総会または取締役会の承認が必要となります。利益相反行為に該当する場合は、議事録(図2)や株主総会または取締役会の承認書、そして登記事項証明書を準備し、移転登録申請書と一緒に提出します(法人の性質により必要書面は異なります)。以上の確認が済み、諸々材料が揃ったら、晴れて移転登録申請へと進むことができます。特許事務においては常識的な手筈なのでしょうが、初心者にとってはハードルの高い手続に鍛えられました。