【告知】「サイバー曼荼羅 −コンピュータ文化をカウンターカルチャーのフィルタを通したときに見える世界−」連載の開始
コンピュータ文化の担い手であるハッカーの思想には、60年代のヒッピーを中心としたカウンターカルチャーの影響が色濃く反映されているとの見方がある。
ハッカーには、冴えわたった頭脳でコンピュータを縦横無尽に駆使するコンピュータエンジニアであるという一般的なイメージがあると考えられる一方で、カウンターカルチャーの主な担い手であったヒッピーには、ドラッグやセックス等に耽溺しながら平和を求める理想主義者であるという一般的なイメージがあると考えられる。
このような水と油ほどにもかけ離れたイメージがある両者の間において、ハッカーの思想に影響を与えるような交流があったとすれば、社会を変えるいくつものイノベーションを生み出してきた、ハッカーが育んできたデジタル技術は、実はカウンターカルチャーを起点とするものであったのかもしれない。
この仮説を検証することに大きな関心を覚えた筆者は、デジタル技術が果たしてカウンターカルチャーを起点とするものであったのかどうかをひもといていく記事を、今般、連載することとした。
この連載では、(1)ソフトウェア、ハードウェア(パソコン)及びネットワークというそれぞれのデジタル技術の成り立ちとカウンターカルチャーとの関係を考察することによって、デジタル技術がカウンターカルチャーを起点とするものであったのかどうかを解明することを試みるとともに、(2)社会を変えるイノベーションを生み出してきたデジタル技術の変遷をたどることによって、社会ニーズや課題に応えるイノベーションが発生したプロセス、あるいは今後のイノベーションが発生するプロセスを解明することを試みることとしたい。
少し長めの連載になりそうなので、他の記事も挟みながら、ゆるりと進めていくこととしたい。気長におつきあいいただけたら幸いである。